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これらの加齢にともなう栄養状態の低下には、老化による消化吸収機能の減退など諸組織機能の低下がもたらす栄養素の体内利用効率の低下がかかわっていると思われるが、おそらく先述の加齢にともなう摂食量の減少によってもたらされる諸栄養素摂取量の減少とも深く関係しているものと思われる。このことは高齢者の健康保持増進の視点からは近年とくに重要視されるようになってきており、成人一般に対する成人病予防を中心的な目的とした一部栄養素の過剰な摂取を避けることを主旨とする食生活対策(図8)に対し、高齢者、中でも最初に述べた後期高齢期にある人にたいする食生活施策の中心におかれているのは、このような低栄養対策である。1992年に厚生省に上って新たに発表された高齢者の食生活指針を図9に示したが、これをみると日本の健康増進を志向した保健施策の中にそのような主旨が盛り込まれていることを具体的に窺うことができる。

図8 成人病予防のための食生活指針(厚生省)

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図9 高齢者のための食生活指針(厚生省)

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